4%ルール。FIRE戦略の一つで最もメジャーではないでしょうか?私は4%ルールを否定はしませんが、推奨もしません。4%ルールは参考程度で中立的な視点で見ることを勧めます。
この記事ではそんな4%ルールの見解を述べる。そして記事にすることで私自身も理解を深めたい。
4%ルールを簡単に説明すると【全資産の4%で1年間の生活費を賄うことが出来れば資産が30年以上継続する。】といったものだ。
※資産はアメリカ市場に投資していることが前提となる。
さらに言うと30年以上、資産が継続するだけではなく、30年後に資産が増えているケースも見られるらしい。会社で疲弊した日々を送っているサラリーマンにとっては夢のような話だ。
この夢の話、4%ルールについて考えたい。
著者の経歴
高卒で工員として働き続けてセミリタイア達成⇒独自の視点でセミリタイア論について語っています。エリートでなくてもセミリタイアは可能と発信していきます。
4パーセントルールの説得力とメリット
リタイア・セミリタイアに関する考えは様々だ。個人個人で色々な主張が見られる。特に資金面に関しては十人十色。何が正しいのかも分からないし、確認しようもない。私もブログで主張はしているが、その根拠は1個人の考えに過ぎない。
4%ルールは説得力がある
4%ルールも資金面に対しての考え方である。
様々な主張が見られる資金面に対しての主張だが、4%ルールは他とは決定的な違いがある。
それは4%ルールが1個人の主張ではないということです。
ポイント
4%ルールは【経済理論を研究した大学の論文を基にしたシミュレーション】であることだ。人間は権威にめっぽう弱い。経済理論や論文といった単語を使われると、説得力があるよう聞こえるから不思議ですね。
4%ルールの内容
そんな権威のある4%ルールだが内容を説明すると。
- 資産をアメリカ市場に投資する
- 投資する資産額は25年分の生活費
- 配当金を貰いながら生活する
- 配当金で生活費が足りなかったら
- 株を売却して生活費に充てる
すごく簡単だ。さらに
- 基本的に株価は上昇していくので
- 一部の株を売却しても資産は減らない
- 30年以上資産が継続する
- 資産が増えている場合も!
まさに夢の話だ。
だが夢物語には欠点が存在する
- 退職者100人をサンプルにして
- 100人中5人は資金が尽きた
- 5%はリタイア生活から退場する
これが4%ルールの欠点となります。
ポイント
退場する可能性があるものの、失敗する確率は5%だ。かなり有用性があるように聞こえる。特に美味しい部分だけではなく、失敗する可能性も報告されているので、巷に溢れている怪しい儲け話とは一味違います。
4%ルール詳細とハードルの高さ
資産をアメリカ市場に投資する
この研究結果は舞台がアメリカである。我々は日本に住んでいるがアメリカ市場に投資する必要がある。
個別株ではなくインデックス投資。アメリカ市場全体に投資が推奨されている。
4%ルールはインデックス投資前提のシュミュレーションです。テスラやAppleで爆益を狙いたい気持ちも分かりますが、アメリカ市場全体に投資しましょう。
ポイント
日本株への投資と違い、海外株への投資は少しだけ面倒。最近では、どこの証券会社も海外投資に力を入れているが、やはり日本株に比べると分かりづらい。
投資する資産額は25年分の生活費
【25年分の生活費】を用意する。
さらっと書かれているが、ハードルが高すぎませんか?
この論文を基に書籍が販売されていますが、大抵は著者が自称普通のサラリーマンで実際は超絶エリートです。私が読んだ書籍の著者は20代の夫婦で、2人合わせた手取り年収が日本円で約1,500万だ。
20代の夫婦で手取りで1,500万。アメリカの給与体系や税制は日本と違うだろうが、こんな夫婦はほんの一握りだろう。
入金力があるエリートたち
世の中には『誰にでもできる』こんな言葉が溢れている。みんな『楽をして』が大好きなので、こんな言葉に群がる。だが言葉の裏を調査すると、発信者は、
- 自称普通のサラリーマンとか
- 自称落ちこぼれを名乗る
- 超エリートサラリーマン
であることが世の常だ。
甘い言葉に群がる人々とは違い過ぎる
私の資産について
オマエも25年分貯めたじゃないか!とツッコまれそうだが、私は結婚もしてません。夜勤と残業で20代、30代を捨てて作った資産だ。だから他人に簡単に勧めるなんてできないのです。
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配当金を貰いながら生活する・不足分は株を売却する
これは言葉の通りだ。株式を保有していれば配当金が得られる。その配当金で生活する。
配当金で不足すれば、株を売却する。
- 生活費が不足する
- 株を売却する
- 株価は上昇している
- 総資産は減らない
都合が良すぎるシミュレーションだが、経済が成長するのを前提に考えれば理にかなっている。
基本的に株価は上昇していくもの
確かに経済は成長していくものだし。それに伴い株価も成長していく。事実、アメリカ市場の過去を振り返っても株価は上昇している。
ただ、やはり過去の結果に過ぎない。日本だって戦後からバブル期までは株価は上昇していた。万が一、このときに【4%ルールのようなもの】を主張して日本株で実行したら全員が退場だろう。
アメリカだって長い停滞期はあったし、日本のバブル期以降のようになる可能性もゼロではない。
そう考えると、4%ルールは都合が良いシミュレーションだし、正直なところ、願望も含まれていると思う。
ポイント
可能性の話であって、基本的に経済は成長するし、今後も株価は成長すると思う。長い目で見れば。ただ、成長しない場合も考慮してセミリタイア戦略を練る必要がある
4%ルールの疑問とデメリット
都合の良い4%ルールだが疑問点と欠点がある。
ここから4%ルールの疑問点と欠点だ。
データが100人分は少ない
私が読んだ書籍の根拠となっている論文だが、サンプル数がたったの100人だ。
これは明らかに少ない
私は偏差値50以下の高校卒だ。論文の優位性など分からない。だがサンプルが少なすぎるということは判断できる。
私は製造業で生きてきた。製造現場が主な職場だったが、多くの製品開発や品質管理にも携わってきた経験がある。その経験を元にするとサンプル数100は話にならない。
人間と製品は違うし、論文を発表した人は100で十分と判断したのかもしれない。だが私の経験則からは確実に有効とは言えない。
サンプルがたったの100なら偏った結果が出ている可能性がある。全否定はしないが、全てを鵜吞みにしない方がよい。
ポイント
調査内容により必要なサンプル数は変動する。サンプル100でも十分な場合もあります。4%ルールに関してサンプルが少ないと主張する理由は『人生が掛かっているから』サンプル数100で社運を賭ける企業など存在しないでしょう。
※サンプル数を増やせば、逆に失敗率が下がる可能性もあります。
100人中5人が退場する4%ルール
そんな少ないサンプル数の中から資産が尽きてしまった人。リタイア生活退場者が出ている。
100人中5人なので、
確率は5%ですね
これはリタイアしたタイミングによるらしい。長期視点で見れば株価は上昇していく。上昇といっても上下に振れながら上昇していくのだ。
上は良いが、問題は下に振れた場合だ。この下の中に歴史に残る大暴落や不景気も含まれる。
運が良ければ、リタイアした瞬間に株価が急騰してリタイア生活が盤石のモノになるかもしれない。だが、運が悪ければ、リタイア後に株価が暴落して資産を大幅に減らす可能性がある。
運悪くリタイア後に株価暴落に見舞われた人が5%に含まれてしまうようだ。
5%に退場者にならないためには
4%ルールの成功率は95%。つまり5%の人は失敗してリタイア生活から退場することになってしまう。
20人中1人の低い確率だが、不思議なことに【低確率の不幸話】は自分に降りかかることが多い。
事前に対策を立てねばならない
研究結果によると、
5%の退場者は『暴落時に株を売ってしまった人』が該当する。
暴落時に株を売らないよう対策をする
では、暴落時に売らなければよいのでは?と思うのですが、収入がなければ配当金のみで生活する。配当金で生活費が不足するなら、株を売却しながら生計を立てることになります。『暴落時に売らざる負えない』状況になる。それを避けねばならない。
暴落時に株を売らないためにどうすれば良いのか?現金を用意しておく。それが答えのようだ。問題はいくら用意するかだ。
2年分の生活費を現金で用意する
【暴落時に株を売らないための現金】ということは暴落期間を凌げる生活費を準備する必要がある。
では暴落期間はどれくらいだろうか?株価が回復するまで平均で2年。最長で5年が過去の結果のようだ。
5年以上の生活費を用意できればそれが最良となる
厳密に言うと配当収入があるので、2年分の生活費があればなんとかなる計算のようです。
※ここでもさらっと2年分と言われていますが、25年分の生活費を貯めた上に、さらに2年分追加。キツイ。キツ過ぎる。
4%ルールで退場しないために
私には2年分の生活費は用意できていません。ですが、働くことで生活費を賄います。
完全リタイアではなく、私のようにセミリタイアで多少の収入を得る生活なら【暴落時に株を売ってしまった人】は回避できる。余剰資金を用意できれば最良だが、セミリタイアなら【5%の退場者】になる可能性は低いだろう。
そして失敗したら働けばいいの精神でセミリタイアしている
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2重、3重の防衛策を
それぞれの防衛策
4%ルールは100人中5人が失敗してしまう。その5人も防衛策で退場を回避できることが分かった。
その防衛策は
- 著者は生活費2年分の現金を用意した
- 私は働いて多少の労働収入を得る
著者と私で違いがあるものの防衛策を練っておくことで退場者になる確率が低下する。
4%ルールを実行する際は防衛策も用意したい。
著者はリスクを負っていない
途中で著者の年収が夫婦で『手取り約1,500万』と聞いて絶望した人もいるでしょう。
最後に追い打ちを掛けるようだが聞いてほしい。
著者は初めから大したリスクを背負っていない
著者は4%ルールを実行した際に失敗しないように2年分の生活費を用意した。だが、それ以上に強力な手札を持っているのである。著者は夫婦揃って会社を辞めても食うに困らない資格とスキルを有している。
手に職がありサラリーマンを辞めても生きていけるのだ。
4%ルールの裏側
エリート夫婦が
- 日本円で1億以上貯めて
- 4%ルールを決行
- さらに失敗率を下げるように
- 2年分の生活費を現金で用意
- そして失敗しても生きていける
- スキルを手にしている
大金を用意した上に、2重のリスク回避策を敷いていたのだ。
ポイント
本当に普通のサラリーマンが鵜呑みにして真似るのは危険である
4%ルール決行は自己責任で
どうでしたか?
4%ルールの有用性と同時に、『私が安易に4%ルールを推奨しない理由』も理解していただけたでしょうか。
- 4%ルールは100人中5人が失敗する
- シミュレーションは過去の結果
リスクありの戦略です。
4%ルールを推奨する書籍やブログは失敗時の保障はしてくれません。
4%ルールはあくまで参考程度に
4%ルールはFIRE戦略の一部で
4%ルールが全てではなく、セミリタイア戦略の一部に組み込むのが良いでしょう。
- 著者のように
『数年分の生活費を現金で持つ』、『手に職を持っておく』
- 私のように
『全力で抵抗して、失敗したら失敗を受け入れて出直す』
2重3重のリスク回避策を用意するか、失敗を受け入れる覚悟を持って決行すると良いと思います。
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著者の経歴
高卒で工員として働き続けてセミリタイア達成⇒独自の視点でセミリタイア論について語っています。エリートでなくてもセミリタイアは可能と発信していきます。