投資信託を選ぶ際に、証券会社のランキングを参考にして選ぶ方も多いでしょう。
SBI証券や楽天証券を始めとする、各証券会社の投資信託の買い付けランキングを見ると、『eMAXIS』の文字が多く見られます。『eMAXIS』とはどのような投資信託なのでしょうか。
- eMAXISとは何か
- eMAXISにはどのようなシリーズがあるのか
- eMAXISはシリーズごとに何が違うのか
- eMAXISの何に投資すべきか
これらをまとめてみました。
この記事でeMAXISシリーズの基本が分かります。
信託報酬について
記事内でファンドの信託報酬に触れていますが、投資の際は目論見書などを通して確認することをお願いいたします。
eMAXIS(イーマクシス)とは、どのような投資信託か
eMAXIS(イーマクシス)とは『三菱UFJ国際投信』が運用するノーロード・インデックスファンドのシリーズになります。
eMAXISの呼び名
証券会社によりファンド名の表示が違う場合があります。楽天証券では『eMAXIS』、SBI証券では『三菱UFJ国際-eMAXIS』など。
ノーロード・インデックスファンドとは
ノーロード・インデックスファンドとは購入時に手数料がかからない投資信託です。eMAXISのシリーズは買付手数料がかからない投資信託のシリーズとなります。
信託報酬はかかります
無料なのはあくまで買付手数料です。信託報酬。いわゆる運営費のようなものは相当額がかかります。
eMAXIS(イーマクシス)シリーズの種類は4タイプあります
eMAXIS(イーマクシス)シリーズにはタイプが4種類あります。
eMAXISのタイプ別の名称
eMAXISシリーズ
・eMAXIS(イーマクシス)
・eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)
・eMAXIS +(イーマクシス プラス)
・eMAXIS Neo(イーマクシス ネオ)
『eMAXIS』がベーシックとなっており、シリーズとして、『Slim(スリム)』、『+(プラス)』、『Neo(ネオ)』を展開。全4シリーズが扱われています。
それぞれにコンセプトがあり、投資対象などに違いがあります。
eMAXIS(イーマクシス)シリーズの投資対象は?
各シリーズの投資対象
・eMAXIS
株式 / 債権 / リート / バランス
・eMAXIS Slim
株式 / 債権 / リート / バランス
・eMAXIS +
コモディティ
・eMAXIS Neo
最先端技術
『eMAXIS』を基本とし、eMAXISのコスト削減にこだわったのが『eMAXIS Slim(スリム)』。
コモディティを投資対象にしたシリーズが『eMAXIS + 』。最先端技術の革新などを投資対象にしたものが『eMAXIS Neo』となっています。
※ここからさらに各ファンドにより細分化されます。
eMAXIS の株式なら
- 日本国内
- 全米
- 欧州
- 全世界
- etc.
などが投資対象となります。
eMAXISのリートなら
- 日本国内
- 先進国
- 新興国
- etc.
などが投資対象
eMAXIS Neoの最先端技術なら
- 宇宙開発
- ロボット
- ドローン
- etc.
などの最先端技術に投資を行うことができます。
このように、各ファンドを通して投資対象を選ぶことができます。
eMAXISシリーズで扱っているファンド数は
各シリーズのファンド数
・eMAXIS(38銘柄)
・eMAXIS Slim(13銘柄)
・eMAXIS +(1銘柄)
・eMAXIS Neo(13銘柄)
各シリーズのファンドの数は以上の通り。ファンド数は2022年現在の数になります。これからも増えていくことでしょう。
※証券会社によって取り扱っていないファンドもあります。しかし、大半のファンドは扱っており、人気ファンドは間違いなく扱っています。
eMAXIS(イーマクシス)の投資対象と特徴・ファンド数
上記の画像はeMAXISで扱われるファンドの投資対象です。ファンド数は38も存在しており、eMAXISで扱われているファンドで多くの主要資産に投資を行うことができます。
eMAXISはeMAXISシリーズの基本的なファンドシリーズ
eMAXISはシリーズの基本となります。公式からは下記のように説明されています。
eMAXISとは「運用資産のベーシック・ツール」。
主要資産に投資を行い長期運用にふさわしいラインナップ。まずはここからはじめてみませんか?
引用:MFCG公式より
eMAXIS slimの方が人気が高い
『eMAXIS』は、シリーズのベーシックとなるファンドシリーズですが、昨今では『eMAXIS Slim』が人気です。理由としては、『eMAXIS Slim』でも主要資産への投資が可能。『eMAXIS Slim』の方が信託報酬が安いといった背景があります。
買付ランキング
実際に、各証券会社の買付ランキングでは『eMAXIS Slim』シリーズが上位にある傾向です。
公式サイトには「まずはここから」とされていますが、個人的には『eMAXIS Slim』のファンドに投資をすべきと考えます。
eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)の投資対象と特徴・ファンド数
『eMAXIS Slim』は『eMAXIS』と比べるとファンド数は劣りますが、
- 株式
- 債権
- リート
- バランス
など、主要資産に投資を行うことが可能です。
eMAXIS Slimはコストにこだわったシリーズ
eMAXIS Slimとは
「とことんコストにこだわった資産育成ツール」。
引用:MFCG公式
公式では『eMAXIS Slim』はコストにこだわったファンドと紹介されています。
コストとはファンドの運用コストです。
- 買付手数料
- 解約手数料
- 信託報酬
などが挙げられます。
その中でも、投資パフォーマンスに大きく影響する信託報酬が低く設定されています。
まずはeMAXIS Slimから投資を
各シリーズの投資対象
・eMAXIS
株式 / 債権 / リート / バランス
・eMAXIS Slim
株式 / 債権 / リート / バランス
・eMAXIS +
コモディティ
・eMAXIS Neo
最先端技術
4タイプあるeMAXISシリーズの中で、最初に投資すべきは『eMAXIS Slim』でしょう。
ファンドの数は『eMAXIS』に劣るものの、信託報酬が低く設定されており、主要資産に投資ができるからです。
eMAXIS +(イーマクシス プラス)の投資対象と特徴・ファンド数
『eMAXIS +』 はコモディティ(世界の商品)を投資対象としたシリーズです。銘柄は『eMAXIS プラス コモディティインデックス』のみとなっています。
eMAXIS でコモディティに投資を行いたければ、『eMAXIS プラス コモディティインデックス』の一択となります。
eMAXIS +投資セクターについて
投資セクターは
- エネルギー
- 農業
- 貴金属
- 工業用金属
- 家畜
となっています。
eMAXIS +への投資について
現在の『eMAXIS プラス コモディティインデックス』の信託報酬は年率0.44%。標準的な信託報酬ですが、『eMAXIS Slim』のファンドと比べると高く設定されています。
そして、コモディティへの投資は初心者向けとは言えないでしょう。
eMAXIS Slimを優先
個人的には『eMAXIS SLim』への投資を優先することを勧めます。コモディティファンドへの投資は余剰資金で。さらに言えば、コモディティに詳しければ個別で投資するべきでしょう。
eMAXIS Neo(イーマクシス ネオ)の投資対象と特徴・ファンド数
『eMAXIS Neo』シリーズは上記の画像に記載された最先端技術の株式銘柄を投資対象にしています。
ファンドは
- eMAXIS Neo 自動運転
- eMAXIS Neo 宇宙開発
- eMAXIS Neo ドローン
- eMAXIS Neo ロボット
- etc.
などがあります。
(eMAXIS Neo) + (投資対象)がそのまま投資信託の銘柄になっています。
eMAXIS Neoは信託報酬はやや高め
銘柄 | 信託報酬 |
---|---|
eMAXIS Neo 自動運転 | 年率0.792% |
eMAXIS Neo 宇宙開発 | 年率0.792% |
eMAXIS Neo ドローン | 年率0.792% |
eMAXIS Neo ロボット | 年率0.792% |
信託報酬が年率0.792%となっており、eMAXIS Slimなどと比べると高めに設定されています。
eMAXIS Neoは投資初心者向けではない
『eMAXIS Neo』は初心者向けではないファンドです。これから伸びると思われる分野に投資を行うことになりますが、それぞれの市場に明るいなどのアドバンテージや先見の明が必要となります。
さらに、信託報酬も高めに設定されています。市場に詳しいなどの場合を除き、後回しにして余剰資金で投資する。または、応援したい分野に期待を込めて投資するのもよいかもしれません。
詳しければ個別株を
そもそも、詳しい分野でしたら個別株にピンポイントで投資した方がよいでしょう。
eMAXISとeMAXIS Slimの違いは何か?どちらを選ぶべきか?
『eMAXIS』と『eMAXIS Slim』どちらも株式・債券・リート・バランスと投資可能。対象地域も日本国内・先進国・新興国と同じです。しかし、比較すると明らかな違いがあります。
- ファンド数と投資対象
- 信託報酬
に大きな違いがあります。
ファンドの数と投資対象に差がある
ファンドの数
・eMAXIS(38銘柄)
・eMAXIS Slim(13銘柄)
ファンドの数に3倍近い差があります。
数が多いということは、『eMAXIS』の方が多くの投資対象となるファンドを扱っています。
eMAXIS Slimでは投資できない投資先もある
eMAXIS
- NYダウ
- S&P500
- NASDAQ100
- 先進国株式
eMAXIS Slim
先進国株式
米国株式(S&P500)
上記は、「日本を除く先進国の株式のみに投資する」ファンドの比較になります。『emAXIS』のファンド数は4つ。『eMAXIS SLim』のファンド数は2つです。
※先進国の株式のみです。新興国や日本国内を含めると、また違いがあります。
S&P500と先進国株式への投資は『eMAXIS Slim』でも可能ですが、NYダウやNASDAQ100に連動するファンドに投資を行いたい場合は、『eMAXIS』を選択せざる負えません。
eMAXISの方が選択肢が多い
上記は一例です。国内株式・リート・債権・バランスなども、『eMAXIS』の方が投資対象の選択は多くなります
eMAXIS Slimは信託報酬が安い
もう一つの違いは信託報酬の違いです。
前項で『eMAXIS』は『eMAXIS Slim』では投資対象となっていないファンドも扱っていると説明しました。逆を言うと、『eMAXIS Slim』は『eMAXIS』と投資対象が同じファンドを一部扱っていることになります。
そして、投資対象が同じファンドを比較した場合、『eMAXIS Slim』の方が信託報酬が圧倒的に安い。
日経平均への投資比較
ファンド | eMAXIS 日経225 インデックス | eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) |
---|---|---|
投資対象 | 日経平均株価(日経225) | 日経平均株価(日経225) |
信託報酬 | 年率0.44% | 年率0.154% |
両銘柄とも日経平均株価の値動きに連動する投資成果を目指すファンドです。
しかし、目指している投資成果は同じにもかかわらず、『eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)』の方が信託報酬が0.3%近く安い。
全世界株式への投資比較
ファンド | eMAXIS 全世界株式 インデックス | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
---|---|---|
投資対象 | 全世界の株式 | 全世界の株式 |
信託報酬 | 年率0.66% | 年率0.1144% |
今度は全世界の株式を対象としたファンドの比較です。
こちらは信託報酬に約0.5%と大きな差があります。
eMAXISとeMAXIS Slimの差
信託報酬に違いがあるので、投資対象が同じ場合は『eMAXIS Slim』の方が運用コストを必要としないことが分かります。
ただし、注意点として、投資対象が同じでも運用成績が同じになるとは限りません。
例えば
- eMAXIS 日経225 インデックス
- eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
この両ファンドは日経平均に連動した投資成果を目指すファンドですが、ファンドに組み入れられている銘柄の割合などに違いが見られます。さらに信託報酬の違いも含まれますから、当然、パフォーマンスにも違いは出ます。
迷ったらeMAXIS Slimを
『eMAXIS Slim』で扱っている投資対象に投資を行いたければ、信託報酬の低い『eMAXIS Slim』に投資しましょう。
信託報酬の安さが人気に反映されている
『eMAXIS 』と『eMAXIS Slim』とを比較すると、ファンドの規模(純資産)は『eMAXIS 』が圧倒的です。しかし、個人投資家の間では『eMAXIS Slim』の人気が高いです。
SBI証券や楽天証券での、投資信託の買付ランキングでは『eMAXIS Slim』のファンドが上位にあります。
人気ファンドについて
基本的には、「買われているから」という理由で銘柄を選ぶのは推奨しません。しかし、指数に連動する投資信託は、この限りではないでしょう。
eMAXISシリーズの人気銘柄
・三菱UFJ国際 - eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・三菱UFJ国際 - eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
・三菱UFJ国際 - eMAXIS Slim 先進国インデックス
・三菱UFJ国際 - eMAXIS Slim 全世界株式(日本を除く)
・三菱UFJ国際 - eMAXIS NASDAQ100インデックス
各証券会社によって買付順位は変わりますが、上位の5ファンドは人気があります。
特に
- 三菱UFJ国際 - eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 三菱UFJ国際 - eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
この2ファンドは非常に人気があります。
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『eMAXIS』は三菱UFJ国際投信が運用するファンドシリーズ。
『eMAXIS』・『eMAXIS Slim』・『eMAXIS +』・『eMAXIS Neo』の4タイプが展開されている。
『eMAXIS』と『eMAXIS Slim』は
- 株式・債権・リート・バランス
が投資対象となっている。
『eMAXIS』の方が投資対象が多く、
- 『eMAXIS Slim』では扱っていない投資対象もある
しかし、
- 『eMAXIS Slim』の方が信託報酬が低い。
投資先(目標指数など)が同じ場合は、『eMAXIS Slim』の方が有利である。
『eMAXIS +』はコモディティを投資対象としている唯一のファンドである。
『eMAXIS Neo』は最先端技術に投資を行うことができる。
これらを理解しておくことで、各証券会社のランキングの見方も変わります。各ファンドの目論見書を読んだ際の理解も深まるでしょう。理解を深めたところで、もう一度、投信積立の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
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著者について
高卒で工員として働き続けてセミリタイア達成⇒独自の視点でセミリタイア論について語っています。エリートでなくてもセミリタイアは可能と発信していきます。